レンチウイルスベクター Lentiviral Vector

レンチウイルスベクターはレトロウイルスベクターの一種ですが、後者と比較した場合に、以下の利点を有します。

  1. 細胞分裂していない細胞にも効率良く遺伝子を導入できる
  2. 導入遺伝子が発現抑制を受けにくく長期に安定した発現が期待できる

これらの利点を生かすことで、個体レベルでの遺伝子機能解析や遺伝子治療実験が可能です。

発生工学研究会では、レンチウイルスベクターを初期胚に感染させることで、トランスジェニックマウスを作製したり、胎盤特異的な遺伝子組み換えをお手伝いします(下図)。大阪大学微生物病研究所教員による学術的なサポートを要しますので、最初の発表論文に共同著者として加えて頂くことを条件にお引き受けします。まずはメールでお問い合わせください。

 

レンチウイルスベクターを用いた遺伝子組み換え動物の作製

レンチウイルスベクターを用いた遺伝子組み換え動物の作製

a: EGFPを発現するための SIN-レンチウイルスベクター
b: 実験プラン。ウイルス感染のバリアーとなる透明帯をはずした初期胚にウイルスベクターを感染させる。受精卵や2細胞期胚に感染させると、胎児と胎盤の両方に遺伝子が導入される。胚盤胞期胚に感染させると、外側の栄養膜細胞だけにウイルスが感染し、結果として胎盤のみに遺伝子発現が見られるようになる。
c-f: 実際に GFP 発現レンチウイルスベクターを感染させて得られた胚および産仔。左:未処理、中:2細胞期胚感染、右:胚盤胞期胚感染。(Nat Biotechnol. 2007)