ターゲティングベクターの作製 Production of Targeting Vector

 

目的に応じたターゲティングベクターを構築します。代表的なものを以下に紹介します。
当法人で用意するプラスミドをお使い頂くことでスムーズなベクター構築が可能です。

ストレートノックアウト

単純に全身で目的の遺伝子を欠損させたい場合は、欠損させるゲノム領域をネオマイシン耐性遺伝子(ポジティブ選択マーカー)などと置き換えたターゲティングベクターを作製します。ネガティブ選択マーカーとしてはチミジンカイネース(tk)遺伝子やジフテリア毒素Aフラグメント(DT-A)を用います。相同組換え用のアームはPCRスクリーニングにおける増幅効率の点から、短腕(1-3kb)、長腕(5〜kb)に設定するのがこれまで一般的でしたが、最近では長鎖DNAの増幅可能なPCR酵素の出現により、短腕・長腕の区別がなく5kb程度のアームを用いることも多くなっています(IKMCなどの実績が豊富)。当法人でも組換え効率の向上のため、両側とも4-5kb程度にすることをお勧めしております。

図A ノックアウト

コンディショナルノックアウト

コンディショナルノックアウトマウスは遺伝子の不活化を組織、時期特異的にコントロールできます。ストレートノックアウトと異なり、欠損させたい領域をloxPなどの組換え配列ではさむ構造となっており、遺伝子の不活化はマウスになってから組換え酵素(Cre)を組織特異的に発現させるトランスジェニックマウスと交配させて組織・時期特異的に行います。全身性にCreを発現するトランスジェニックマウスと交配させれば、ストレートノックアウトマウスとなります。IKMCなどから入手できるベクターはこのタイプが多いです。

図B コンディショナルノックアウト

ノックイン

「遺伝子に任意の変異を導入したい」「遺伝子をヒト型など別の遺伝子と置換したい」場合は、ノックインマウスを作製します。ベクターの基本構造は上記のものと同じですが、アーム中のエクソン部分に変異を入れたり、標的遺伝子を別の遺伝子と置き換えます。GFPなどの蛍光タンパクを導入することで、遺伝子の発現部位を蛍光でモニターできるマウスを作製することもできます。

図C ノックイン